■ ハイドロキノンとは?
ハイドロキノンは、イチゴ類、麦芽、コーヒー、紅茶など天然にも存在する成分ですが、還元作用があり写真の現像に使われています。現像していた人の肌が白くなったことから美白※作用のあることが発見されました。ハイドロキノンは、シミの原因であるメラニン色素の合成を阻止する働きがあり、その美白効果はコウジ酸やアルブチンの数10~100倍と言われています。アメリカで美白※といえぱ、このハイドロキノンが主流。日本ではこれまで医師の管理下でのみ使われてきましたが、2001年の規制緩和により、メー力ー責任で、化粧品に使用されるようになりました。
※メラニンの生成を抑え、日焼けによるしみ、そばかすを防ぐ。
■ 配合禁止成分ハイドロキノンモノペンジルエーテルとは別物
ハイドロキノンモノベンジルエーテルはメラニン色素の合成を非常に強カに抑制しますが、色素細胞に対する毒性が強く、長期に使うと不可逆的白斑を引き起こすことが知られています。また、アレルギーを起こしやすい性質もあり化粧品への配合が禁止されています。あの有名な歌手M.J.氏が使ったのがこの成分と言われています。構造が似ているということでハイドロキノンも長年化粧品には使用されていませんでした。そのため、いろいろな美白剤がハイドロキノンをまねて開発されてきました(ハイドロキノン誘導体)。アルブチンもその一つです。
■ クリニックではどういう時に使われるの?
特にシミやニキビ跡の色素沈着、レーザー後の色素沈着に対して効果が高く、非常によく使われています。単独でも効果がありますが、ピーリングやレチノイン酸と併用して使われることも多いようです。ハイドロキノン自体は浸透性があまり高くないので、併用することで効果アップが期待できます。最近では製剤技術により浸透性を高めたハイドロキノン製剤も開発されています。
○ どんなシミに効果があるのか
皮膚の浅い部分(基底層から表皮)にメラニン色素が異常増殖・色素沈着している以下のようなシミに使われます。太田母斑など真皮性のシミには効きません。
[肝斑(かんはん)]
肝臓の色に似た褐色のシミで、額や頬、目や口の周り左右対称に現れます。女性ホルモンのアンバランスなどが原因と考えられており、レーザー治療では治らず逆に色素が沈着してしまうことがあるので、主にハイドロキノンなど外用薬が使われます。肝斑は紫外線に反応しやすいため日常的に紫外線を避けることが必要です。
[雀卵斑(じゃくらんはん)]
両頬や鼻の上にメラニン色素が異常増殖または色素沈着することによって起こる褐色の小さな斑点がたくさん散在するものをいいます。一般にソバカスと呼ばれています。紫外線を浴び続けていると色が濃くなったり、数が増えたりします。
[炎症後色素沈着]
ニキビ跡の色素沈着の改善やレーザー後の色素沈着の予防に多く使われています。他に、アトピー性皮膚炎患者の色素沈着の改善に使うこともあります。
[日光黒子(老人性色素斑)]
主に中年以降の人の顔や手の甲、前腕など日光に長期間当たる部位に良く発生します。男女ともに見られます。
ピーリングやレーザーと併用するとさらに効果的です。
■ 副作用は?
人によってはかぶれたり、皮膚への刺激が起こることがあります。赤みや刺激が強く出た場合はすぐに使用を中止し、医師に相談してください。ハイドロキノンは非常に安定性が悪く、酸化してできるベンゾキノンという成分は刺激が強いので、純度の悪い原料を用いた製品や劣化(茶色に着色)したものを使用しないようにしましょう。また、高濃度に長期大量に使用し、無防備に日光を浴びた場合などに色素沈着が起こった例がありますので、ハイドロキノン使用中は必ずUVケアをしてください。
○ 白く色抜けすることはあるのか
5%程度のハイドロキノンでは白い色抜け(白斑)は報告されていません。ハイドロキノンは前述の、ハイドロキノンモノベンジルエーテルよりも色素細胞への毒性が弱く、その作用は可逆的です。つまり強い紫外線を浴びると元に戻ってしまうのです。
さらに高濃度のハイドロキノンを長期に使用する場合には注意が必要ですので、使用方法については医師の指示に従ってください。
■ ステロイドの配合について
ハイドロキノン軟膏にはステロイドが配合されている場合があります。ハイドロキノンの濃度が高いと刺激やかぶれを起こしやすくなるため、炎症症状を抑える目的でステロイドが配合されているのです。しかし、ステロイドを長期に使用すると皮膚萎縮などの副作用が起こる可能性もありますので、必ず定期的に医師の診察を受けてください。
■ ハイドロキノンの効果
○使用方法:
1日朝晩2回指定部分に塗布。
朝使用時には日焼け止め(SPF25,PA++)を使用させた。
○評価方法:
日本色彩研究所のスキントーンカラーチャートの明度(V値)で判定(試験開始時との差)
【判定基準】著明改善:1.0以上 中等度改善:0.75 軽度改善:0.5 不変:-0.25~0.25